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僕の幼少時の降誕祭

さぁ、街は本格的に降誕祭の季節です。
キャナルシティ博多

この時機を舞台にした絵本のうち、僕のお勧めは、言語学者でもあるJ.R.R.トールキンのサンタ・クロースからの手紙です。この作者は「ホビットの冒険」や「指輪物語」の著者と紹介したほうがわかり易いでしょうか。この絵本は、自身の息子達の為に毎年書いていた「サンタ・クロースからの手紙」を数年分纏めた作品で、子供に夢を与える様な、ワクワクする絵本です。トールキン自身が子供に読ませたかったお話ですから、当然といえば当然でしょうか。
僕も小さな頃にこういう絵本を読みたかったなぁと思います。僕が理屈っぽいのは矢張り、幼少時の教育環境にあったと感じていますので(笑)
 
 
僕が降誕祭(Xmas)という行事を知ったのは、三歳位の時です。
それは、我が家に出入りしていた業者のおじさんに、ブーツ型の入れ物に入ったお菓子を貰ったからでした。しかし僕は何故お菓子が貰えたのか解らなかったので、親父にその理由を聞いてみました。
親父は生真面目な男で、僕にその時詳しく降誕祭について語ってくれたのですが、小さな僕は巧く理解できませんでした。理解できたのは、

大人が赤い服を着た爺さんの変装をして、子供にプレゼントをあげる
という断片的な情報だけです。
つまり僕は小さい頃に、サンタクロースという幻想を信じた事がありません。幸か不幸か、降誕祭という行事を知った時、あれを大人が作り出した夢だという事も同時に教わったのです。まぁ親父は初め僕を騙そうとしたとは思いますが、出入りの業者に貰ったという事実もあり、サンタクロースの存在を吹き込む事を諦め、「大人が」と言ったのでしょうね。
子供にプレゼントをあげるという行為は、恐らく12月28日の「幼子殉教者の祝日」を先にやっちゃうからだと思います。信者じゃない僕からすれば、「幼児殉教者」を作る原因となった「東方の三博士」は、「本当に賢いのかな?」と、大きな疑問です(笑)
まぁともあれ、三歳児の僕の知識はこの様なものでした。
 
 
さて、事件は師走も終わりに差し掛かる頃、保育所で起きました。
 

保育所では集会の後、皆でお菓子を食べました。予備知識を得ていた僕は、これが降誕祭にからむ行事なのだと察知し、保母に確認をとりました。保母は頷き、良い子にしていたらサンタクロースが現れるといいました。他の子は不安そうに、
「(保育所には)煙突が無いから来れないよ」
と言いましたが、僕は
「莫迦だなぁ。門から堂々と入ってくれば良いじゃないか」
と言いました。保母も、その通りだといったので、皆安心します。
そして皆がケーキを食べ終わった時、カーテンが敷かれ、照明が落とされました。子供達は皆、何が始まるのかと想像している様でしたが、僕は愈々かと思いました。
まぁ、皆さんの想像通り、ここでサンタクロースが登場しました。集会場は歓声で溢れます。僕はここで素早く保育所のスタッフを確認しました。矢張り保育所唯一の男性スタッフである、所長の姿が消えています。それで僕はサンタクロースの正体を所長だと確信しました。行事の最中であるにも係わらず、所長が消えている事から導き出される論理的帰結は、唯の一つです。
子供の目から見ても、所長は頑張って役を演じている様に思えたので、素直な僕はサンタクロースに声を掛けました。
「所長! お疲れ様です!」
所長は驚いて僕を見ました。保母たちが慌てて、
「まーくん、所長ではありませんよ。サンタさんです」
と言いましたが、僕は確信していたのと、何故隠すのかわからない事もあって、
「あれは所長だ!」
と、大声で皆に教えてあげました。

これで集会は無茶苦茶になりました。
保母たちは僕を黙らせようとし、僕は所長だと泣きながら主張し続けました。
女の子達は、サンタクロースが偽者だった為に泣き出してしまいました。男の子のうちの多くは、僕の意見に賛同し「所長だ」と囃しました。僕の明察な推理で、もう所長の変装をサンタクロースだと信じる子供の方が少数派になってしまったのです。

これは随分後になって‥‥‥、大学生の頃に祖母から聞いたのですが、僕の母はこの日、保育所から僕に辞めて欲しいと言われたのだそうです。僕は流石に母親が気の毒になり、言いつけをしばらくは硬く護り、夜遊びと飲酒を控えました。
幼少の頃から他人の嘘を暴くのが好きでした。当時を思い出してみれば、昔からちっとも変わらないなぁと、笑ってしまいます。

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